認知とこころ

◆番外こらむ◇”原因帰属の誤り”を学んで思うこと

50歳手前になって、放送大学大学院で心理や教育を学んでいます。 今期学んだのは、『現代社会心理学特論』(森津太子)で、比較的新しい社会心理学の知見を網羅的に学びました。 私が大学を卒業したのは1980年代の半ばですが、教科書に出てくる研究のほとん…

子どもの高次脳機能障害と発達障害

** 子どもたちの高次脳機能障害−理解と対応 the Ontario Brain Injury Assosiation ** 高次脳機能障害とは、事故や病気などで脳の損傷を負い、脳の認知機能の障害を起こしたもののことです。交通事故などのあと怪我などが回復しても脳の障害が残るために…

言葉を話すかどうかで知的能力を判断することが間違っているかもしれないと考えてみる

** ぼくは考える木 自閉症の少年詩人と探る脳のふしぎな世界 ポーシャ・アイバーセン(アメリカ) **自閉症スペクトラムのことを知る上で欠かせないのは、言葉の出ない重度の自閉症の人のことです。自閉症とは本来そのような人たちのことを指すのであり…

脳・感情・身体は有機的につながっている

** デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 アントニオ・R・ダマシオ/著 田中三彦/訳 (アメリカ)** 以前の記事『脳で診る発達障害−4つのタイプで長所を活かす(2012/05/07)』で紹介した、『活かそう!発達障害脳―「いいところを伸ばす」は治療です。』(…

ワーキングメモリを鍛えることで、発達障害が改善するかもしれない

** オーバーフローする脳 ワーキングメモリの限界への挑戦 ターケル・クリングバーク(スウェーデン)** 訳者あとがきによると、スウェーデンのカロリンスカ研究所で発達認知神経科学の教授を務める先生が、一般向けに書かれた本なのだそうです。ワーキ…

最近の脳科学が教えてくれた「私の知らない私」

** 単純な脳、複雑な「私」 池谷裕二 ** 池谷裕二さんは、「脳の可塑性」研究の第一人者で、東京大学で研究されている薬学博士という肩書きの方。にもかかわらず(?)、一般に向けて上手に説明するすご腕の持ち主です。この本は、出身校である静岡県立…

つながりたい自己

**「痴呆老人」は何を見ているか 大井 玄** 認知症と発達障害は全く何の関係も無いように見えますが、似たところもたくさんありますよね。私が思いつくだけでも、このようなことがあげられます。・脳の機能がじゅうぶんに働いていない状態だと考えられて…

個人攻撃の罠に気づく

**人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」** 島宗 理 いつも約束の時間に遅れる、鍵や財布をしょっちゅう探している あの人のその行動の原因は、何でしょうか。 発達障害を勉強すると、思いつくのは、 ADHD? もう少しよく…

なりきる私と見られる私

**「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと** 佐藤幹夫 自閉症の子どもは『ごっこ遊び』をしないというような話を聞いたことがあると思います。じゃあ、自分はどうだったかとか、自分の子どもはどうだったかとなると、物まねや○○のふりというのは、ごっ…