遺伝か環境か

<番外編>何を学習するかが遺伝している

関係性の発達を扱った本を2冊読みましたが、読んでいて思いだしたのが、 このブログのずいぶん最初の方で読んだ、 『人間は遺伝か環境か?遺伝的プログラム論 (文春新書)』(日高敏隆)です。 (→記事へ)鳥のひなを親鳥と隔離して育てるとさえずりを覚えな…

自閉症の豊かな世界とそれを活かす子育て

** 自閉症の関係障害臨床 母と子のあいだを治療する 小林隆児 **親子の関係性の発達という観点から自閉症の治療を試みた記録が3例、収められています。東海大学健康科学部に設置したMIU(母子治療室)で、母と子の遊びに共同治療者がかかわった数年間を…

子どもはどう育つのかどう育てるのかわかっていることとわからないこと

** 育てる者への発達心理学 関係発達論入門 大倉得史 **関係発達論というのは、鯨岡峻という日本の発達心理学者が比較的最近提唱した考え方なのだそうです。一昔まえに発達心理学を勉強してそのままの人ははじめて聞く名前かもしれません。この本は、そ…

人と対峙する精神医学から学ぶこと

** こどものこころを見つめて 臨床の真髄を語る 対談:小倉清・村田豊久 聞き手:小林隆児 **小倉氏は昭和7年生まれ、村田氏は昭和10年生まれ。現在70歳台後半に差し掛かっておられる、こどもの精神医療の重鎮とも言える先生方の対談です。子どものここ…

◆番外こらむ◇日本の伝統的な育児もひとつではない?

ひとつ前の記事で、こう書きました。 日本はもともとスウォドリング型だったのに、いったん<科学的>な育児を取り入れて、再び日本的な育児に回帰しようとしたときに、抱っこ型のイメージにすりかわってしまった こう書いてしまってから、どうも落ち着かな…

人類の伝統的な子育ては一つではない 

** 育児と日本人 正高信男 ** 人間の赤ちゃんは、母親の腕に抱かれて育てられ、やがておすわり、はいはい、つかまり立ちを経て、歩き出すというのが、まあ定番ですよね。寝かされていた赤ちゃんが、不安になって泣き出すと、お母さんが抱き上げてあやす…

遺伝子の発現が環境に左右され、環境の影響が遺伝することもあるという新しい研究

** エピジェネティクス 繰られる遺伝子 リチャード・フランシス(アメリカ) ** これまでいろいろな本を読んできましたが、最近このエピジェネティクスという言葉に出会うことが増えてきています。どんなものなのか学んでみたいと思っていたら、この本に…

脳の新しい常識が私たちの人生観を変えてしまう

** よみがえる脳 脳は環境の変化に対応し、何歳になっても、絶えず変わり続ける 生田 哲 ** 私たちの皮膚は、傷がついてもすぐに修復されます。肝臓の細胞は猛烈なスピードで再生し、骨も細胞が入れ替わって継続的に再生されているといいます。でも、脳…

<番外編>脳科学から見たことばの獲得と、自閉症スペクトラム

前回の補足として、この本『ことばでつまづく子どもたち』が自閉症の発症原因として解説している内容について書きたいと思います。 私自身は、自閉症スペクトラムがなんらかの機能不全による<障害>で、<普通>になることで改善するものであるという考えに…

脳科学から理解するこどもの定型発達と、そして発達障害

** ことばでつまづく子どもたち 話す・読む・書くの脳科学 竹下研三 ** 発達障害というのは子どもの発達についての用語だったということを、つい忘れてしまっていないでしょうか。同じく、定型発達というのも子どもの発達のことを指していて、子どもが大…

赤ちゃんと共感覚

** 赤ちゃん 成長の不思議な道のり 安川美杉 ** 脳の「刈り込み」って聞いたことありますか?赤ちゃんに接している若いお母さんなら、もしかしたら、育児情報として知っているかもしれません。この本は、テレビ番組『NHKスペシャル』2006年10月の放送…

遺伝か環境か

発達障害、とくに、自閉症については、遺伝か環境かということについて、ややこしいことになっているように思います。 実際の自閉症の人の家族を見ると、濃い薄いはあるものの、自閉症スペクトラム寄りの性格特徴を持った人が多いのは、経験的にあるような気…