☆レビューのレビュー(その6)☆21世紀の発達障害観を目指して
この10冊を読んでいる間に、義父が他界し、主人が失業(定年退職扱いです)しました。
義父や主人については、これまで表面的にしか理解していなかったことが、もっと深く理解できる良い機会だったように思います。
この10冊では、新しい言葉を2つ学びました。
愛着障害 と エピジェネティクス です。
>>親とのこじれを克服していくことで人生が大きく花開く
>>遺伝子の発現が環境に左右され、環境の影響が遺伝するということもある新しい研究
この二つの歴史には共通点があります。20世紀の半ばに一度表舞台から消えたように見えた基本的な考え方が、1990年代ぐらいから急に盛り返した結果出てきているということです。これは、以前にとりあげた脳細胞が再生するという考え方も同じで、ここ20年ほどで急激に発展してきている学問分野です。
>>脳の新しい常識が私たちの人生観を変えてしまう
1990年代は冷戦の終結の時期にあたります。どうも、冷戦の間、政治経済の思想の対立に絡んで、科学の世界でも学説の対立が膠着してしまっていたようなんですよね。
>><番外編>愛着理論と発達障害の歴史〜新しい出会い〜
エピジェネティクスについては、1代で獲得された形質が次の代に遺伝するかどうかで冷戦時代に東西の対立があったという内容の記事を見つけました。参考までにリンクします。エピジェネティクス進化論
冷戦の終結からそれなりの時間がたって、新しい科学の形が見えてきた時期に差しかかっているのでしょう。
科学とはいえども政治や経済、時代との絡みは免れないということを認識しつつ、私たちは発達障害という現象について新しい説明を探していく必要があるように思いました。
『活かそう!発達障害脳』は、出生前、出生後にかかわらず、脳に高次の障害がある場合の症状の出方というのは共通していて、発達障害は脳の個人差の極致として考えられるという考え方が示されました。
>>脳で診る発達障害−4つのタイプで長所を活かす
同時に、社会性というのは環境との相互作用によって育てるものという観点から、高次の脳障害としての認知や感覚の違いとは別な問題として切り分けることが可能になってきたと思います。
認知や感覚の違う人たちを、どうやって子どものときから適切に育て、適切な社会性を引き出すことができるかというのが課題であり、社会性がうまく育たないという結果を見て診断基準にするという時代は終わっていくという予感がします。
その点では、1940年代に自閉症と診断され、現在60歳を越えて活躍するテンプル・グランディンさんの成功には学ぶことがたくさんあると思いました。
>>自閉症の先輩から学ぶ成功の秘訣
私の義父は大正生まれ、昭和のアスペルガー傾向を持った人でした。このような人はそれなりにたくさんいて、その勤勉さや実直さで昭和の日本の成長を支えてきたと思います。
私たちは、今の時代に合った発達障害脳の活かし方を作っていく必要に迫られているのだといえます。
既成の枠にとらわれない新しい発想で時代を切り拓く力が、どの分野にも必要とされる時代がやってきています。どういう形で自分の力を活かすのか、各自のアイデアと努力が求められていると思っています。
※義父のことなど、私の日常雑感はもう一つのブログに書いています。よかったらお立ち寄りください。
>>晴れの日は、えっちらおっちら
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